春にして君を離れ
読んだ本や観た映画を、感想に残さないのは少し惜しいのでこれからなるべく残していきたいと思う。
要約、プロットの練習も兼ねているのでネタバレあり。ご注意ください。
「春にして君を離れ」
あらすじ
主人公のジョーンは旅行の途中、中東の砂漠で足止めを食い、孤独を強いられる。蠅の卵が産みつけられた部屋、毎日同じ食事、見渡す限りの砂漠・・・。そこで彼女は初めて自分の人生と向き合う。これまでの過ちを振り返り、自惚れで独りよがりな人生を懺悔し、生まれ変わろうと決心する。
しかし、家に帰った彼女は・・・
アガサクリスティの本は初めて読む。大きな事件も殺人も起こらないが、別の意味で恐怖を感じる作品だった。
エピローグでは、彼女の夫視点で見た彼女が描かれるのだが、ここはミステリー小説における種明かし的な部分でうまいと思った。
私もこの主人公と同じような心境に陥ったことがある。
コロナ禍で自宅で過ごす日々を強いられ、自身と向き合わざるを得なかった。
私は人生を振り返り、たくさんの人を傷つけてきたことを反省した。
これまで人に何かを与えることが出来ただろうか。
ただ奪うだけではなかったか?
無知は救いだ。
都合の悪い部分から目を背けることは彼女にとっての救いだったのだ。
過ちに気づくことは困難で、さらに苦痛を伴う。
しかし無知のままで良いのだろうか。
知らずに人を傷つけ続ける人生で良いのだろうか。
無知のまま胸を張って生きるか、苦悩を乗り越え前進するか。私はなるべく後者でありたいと思った。