ネムルバカ
大学の女子寮で同室の先輩ルカと後輩ユミの日常漫画。
アーティストになるという夢を追いかけるルカと、平凡でやりたいことが見つからず怠惰な生活を送るユミが対称的に描かれる。
ゆるい日常の中でゆるい会話が繰り広げられるが作品に流れるテーマは将来や夢のことで、このままじゃいけないと思いつつも行動に移せない葛藤や、意識高い系の自称アーティスト、行動せず口だけ達者な同期、などとかなり生々しい描写がある。
特に作中に出てくる駄サイクルという話は結構グサッときたし気を付けようと思った。
※駄サイクルとは、自称アーティト同士が、見る→褒める→作る→褒められるを繰り返す進歩のない慣れあい空間のこと。
目標を持つルカと、そうでない無気力に生きる大学生三人で会話するシーンで、お互いの姿が宇宙人に映っている描写があるのだが、この感覚わかる~って思った。
双方で行動原理が異なっていて、同じ言葉を喋れども、文脈が違うがために完全に理解しあえない存在だと諦める感覚。(うまく言語化できないけど根っこの部分が違うよなという話)
別にどっちが良いとか悪いとかじゃないんだけど、夢に向かって努力してる人はやっぱりかっこいいよね。
個人的にはこういうモラトリアムな学生生活にすごく憧れがある。私は短大だったのでそんな暇もなく卒業してしまった。こういう時間にこそ人間の本質が出るんだろうな~。
オリエント急行殺人事件
THE王道のミステリー小説を読んでみた。
大雪のため立ち往生をした豪華列車。その一室で殺人事件が発生した。犯人はこの列車に乗り合わせた者の中にいる。
古典的なものに触れるのは初めてだったので正直楽しみ方がわからなかった。すごく丁寧にアリバイ一覧みたいなものが書かれてたけど、これ自分も推理しながら読むの?
舞台は汽車から一歩も出ないのに、これだけキャラクターとストーリーを作りこめるのはすごいなと思った。
アルファベットのHがキリル文字だとエヌの発音になるというトリックはなるほどと思った。
2017年に公開されたハリウッド版の予告を見たけど小説にはないアクションシーンがあったりイマジンドラゴンズの曲が使われてたりで逆に気になるので機会があれば映画も観てみよう。
ブラックレイン
アメリカの警察と日本の警察が協力してヤクザをやっつけるお話。
日本の形式を重んじる文化を受け入れられないアメリカ人と、それに振り回される日本の警察のやりとりが可愛い。
大阪が舞台だがハリウッド映画によくあるステレオタイプな日本人が出てこなかったのが良かった。
リドリースコットは、やっぱり男性を魅力的に描くのが上手いなと思う。
チャーリーという主人公の同僚がいるのだがこいつがめちゃくちゃ良いキャラ。クラブで歌うシーンが特にお気に入り。あんなに楽しそうなアンディガルシア初めて見た。
あとはやっぱり高倉健の演技がすごいと思った。口数は少ないキャだがその分を表情や態度で補ってる。かっけえ!これを機に日本のやくざ映画も観てみようという気になった。
音楽はハンスジマーということで期待していたが、チープな感じで拍子抜けしてしまった。でもそれはそれで80年代の日本の雰囲気と合ってるのかもしれない。
結構よかった。というか、私がリドリースコットの作品に求めているものが見れて大満足。
★3.5
儚い羊たちの祝宴
アガサクリスティを読んで久しぶりにミステリーの世界に浸りたくなったので、Amazonでオリエント急行殺人事件をぽちった。それが届くまで家の本棚にあった本でも読むことにした。
米澤穂信の小説で一番好きな作品。この作品の魅力は酔いしれるほど上品な語り口である。お嬢様が集う読書サークル「バベルの会」を中心に、五つの事件が起こる。凝ったトリックなどはないものの、予想外の結末でカタルシスを感じられる。ダークな世界観が好きな人におすすめ。
私が特に好なのは、「玉野五十鈴の誉れ」。
これがまあ百合なのである。孤独なお嬢様に仕える忠実な召使の主従関係。そしてお互いに対する激重感情、たまらん。ネタバレしないからみんな読んでくれ!!!
ちなみに今年香川に玉野五十鈴という店名のカフェがOPENしていた。パンケーキを出しているようなおしゃれな店なのになぜこの本から引用したのか気になる。
春にして君を離れ
読んだ本や観た映画を、感想に残さないのは少し惜しいのでこれからなるべく残していきたいと思う。
要約、プロットの練習も兼ねているのでネタバレあり。ご注意ください。
「春にして君を離れ」
あらすじ
主人公のジョーンは旅行の途中、中東の砂漠で足止めを食い、孤独を強いられる。蠅の卵が産みつけられた部屋、毎日同じ食事、見渡す限りの砂漠・・・。そこで彼女は初めて自分の人生と向き合う。これまでの過ちを振り返り、自惚れで独りよがりな人生を懺悔し、生まれ変わろうと決心する。
しかし、家に帰った彼女は・・・
アガサクリスティの本は初めて読む。大きな事件も殺人も起こらないが、別の意味で恐怖を感じる作品だった。
エピローグでは、彼女の夫視点で見た彼女が描かれるのだが、ここはミステリー小説における種明かし的な部分でうまいと思った。
私もこの主人公と同じような心境に陥ったことがある。
コロナ禍で自宅で過ごす日々を強いられ、自身と向き合わざるを得なかった。
私は人生を振り返り、たくさんの人を傷つけてきたことを反省した。
これまで人に何かを与えることが出来ただろうか。
ただ奪うだけではなかったか?
無知は救いだ。
都合の悪い部分から目を背けることは彼女にとっての救いだったのだ。
過ちに気づくことは困難で、さらに苦痛を伴う。
しかし無知のままで良いのだろうか。
知らずに人を傷つけ続ける人生で良いのだろうか。
無知のまま胸を張って生きるか、苦悩を乗り越え前進するか。私はなるべく後者でありたいと思った。
2019年ロシア旅行記②
コスモスというホテルに泊まります。いくよっあかり!
まさにスターリン建築といった風貌です。
総客室はなんと1700室!
一泊4000円〜で、交通の便も良く、突然ライトが点かなくなったり、朝食のドリンクコーナーにアリさんがとことこしてて、収容所にでも入れられたか?と思う瞬間もあって大満足です!
エレベーターに閉ボタンがなくて少し困りました。
赤いボタンは核ミサイルの発射ボタンに違いないので怖くて押せませんでした。
追記:こちらがコスモスでの朝食です。まずいというレベルではありませんでした。パンの上に乗っかってる黄色い物体、チーズだと思って取ったらゴムの味がしました。